COLUMN 物流コラム
農産業界における物流の役割とは?現状や課題についても解説
農産物は生産者からさまざまな物流経路を経て、消費者の手元に届きます。農産物の物流は、産地と消費者を繋げる重要な役割を担っているといえますが、農産業界を取り巻く環境が大きく変化する中でさまざまな課題が浮き彫りとなってきており、その解決が求められています。
そこで今回は、農産業界における物流の役割について解説します。現状や課題についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
農産物の物流の基本的な流れ
農産物が生産者である農家から消費者の元へ届けられるまでには、さまざまな経路・中間流通が生じます。基本的には、生産者から農協などの出荷団体へ農産物が渡され、農産物を管轄する卸売業者や仲卸業者を介して小売業者へと流通し、消費者がスーパーマーケットなどの店舗で野菜を購入することにより、手元へと届けられているのです。
しかし、近年ではインターネットや物流技術の発達により、卸売業者などの中間流通を介さないルートも増えています。例えば、生産者や出荷団体が直接小売店、消費者に届ける経路が新たに増加してきているのです。
中間流通を経ることで人件費などのコストは発生するものの、卸売業者の存在によってより多くの小売店に農産物を届けることが可能です。また、輸入された農産物に関しては、専門の商社などが窓口になり卸売業者や小売業者へ商品を卸しています。
農産品物流の現状
先程の通り、農産物は生産者・卸売業者・小売業者・消費者という流れで輸送されています。それぞれの経路に物流が存在しているため、効率的な物流は生産者と消費者を繋げる重要な要素であるといえるでしょう。
しかし、農産品に関する物流にはさまざまな課題が存在しています。ここでは、農産品物流の現状について紹介します。
物流費が高い
消費者がいる地域と生産地が離れているケースが多く、慢性的に物流費用が高くなっています。農林水産省生産局の資料によると、東京都中央卸売市場から北海道(帯広)までの距離は1,300kmであり輸送時間は18時間です。青森までは700kmで10時間、高知までは800kmで12時間、宮崎までは1,400kmで19時間もかかります。
特に消費地と生産地が離れているにもかからずロット数が少ない場合は、1商品あたりの物流コストはより高くなりやすいです。その結果として、商品の価格に物流コストが上乗せになるため消費者の負担は増えることになります。
物流にかかる負荷が大きい
農産物は品質を保つために、収穫後は速やかに輸送することが求められ、その際に温度管理が必要なものもあります。他の商品と比較すると物流にかかる負荷は大きくなりやすいと言えます。
他にも、農産物は天候などの要因により生産量が変化するため輸送量が安定せず、品目によってはロットが小さいものや大きいものなどバラつきがあります。農産物の種類によっては潰れやすいものや傷みやすいものがあり、物流過程では繊細な取り扱いが必要なケースもあります。これらも、物流現場の負荷が増す要因の一つです。
流通が異なる生鮮野菜と加工野菜、それぞれへの対応が必要
青果物は大きく生鮮野菜と加工野菜に大別されそれぞれのニーズに合わせた対応が必要になります。加工野菜の場合は、小売業者や消費者の手元に届く前に野菜加工業者へ輸送されます。
この野菜加工業者には前処理などの一次加工を行う業者と、二次加工・最終加工を行う業者に分かれるケースもあり、その間にも物流業者が存在するのです。このように、同じ農産物でも加工野菜の場合は、流通形態・経路がより複雑になります。
他にも、生鮮野菜と加工野菜では輸送する際の取り扱いにも違いがあります。例えば、農業用のベジコンは加工野菜をターゲットにした容器であり、生鮮野菜と比較するとより効率を重視した仕様となっています。このように、農産物でも対応が別々であり統一できない点も物流に負荷がかかる要因です。
ドライバーが不足傾向にある
物流業界全体が深刻な人手不足である点も、農産物の輸送に大きな影響を与えています。特に農産物はトラックによる輸送が大半を占めており、物流業界ではドライバー不足が大きな課題です。
トラック業界は長時間労働・低賃金などの過酷な労働環境であり、新規就労者が増えず少子高齢化の影響もあって人手不足が年々深刻化しています。特に農産物の物流は、出荷量が直前まで決まらず、出荷待ち・荷下ろし待ちの時間が長いため、ドライバーの拘束時間が伸びやすくトラックの確保が難しくなりがちです。
他にも、農産物を傷つけないように扱わなければならず、手作業で積み下ろしするなど手荷役作業が多いため、ドライバーの身体的な負担も大きいです。さらに、農産物の場合は帰り荷がないことが多く、小ロットで多頻度輸送が求められることもあり、特にドライバーが不足しているジャンルでもあります。
課題解決には物流の効率化が求められる
このように農産物の物流にはさまざまな課題があるため、課題解決に向けて業務の効率化を推進する必要があります。例えば、ITシステムの導入により、サプライチエーン内で情報共有を促進することで業務の効率化が期待できます。
又、近年ではAIを使った高度なシミュレーションが可能であり、最適な輸送ルートをドライバーに指示することで輸送時間を削減できる可能性もあります。他にも、農産物の生産量や積載量を予測することにより、待ち時間なども減らすことが出来ます。
ITシステムを導入せずとも、各種パレットなどを使用することにより、従来よりもドライバー・従業員の負荷を軽減した物流を実現することができます。
農産物に適したメッシュパレット
農産物の保管・輸送には、メッシュパレットの利用がおすすめです。メッシュパレットとは網状の板を立体的に組み立てたパレットで、通気性が良いことから農産物の輸送に適しています。ここからは、メッシュパレットを使用するメリットをいくつか紹介します。
収穫の効率が良い
段ボールには段ボールとしての良い点がたくさんありますが、メッシュパレットの運用メリットは、農業従事者の収穫作業効率が格段に上がる事です。
導入するにあたって機材が必要にはなりますが、段ボールを1ケースずつ組み立てて収穫を行うよりも、メッシュパレットで行う方が効率は良くなります。
また、雨の日でも収穫を行う事が可能になる点も良い所です。
積載効率が良い
メッシュパレットは通常の平パレットと異なり、立体的な構造であるため積載効率が良いです。商品を重ねて積めるだけでなく、網状であるため保管している商品の状態も把握することができます。
スペースを有効活用できる
メッシュパレットは段積みが可能であるため、倉庫内の空間を縦方向に活用できます。それぞれのメッシュパレットには耐荷重がありますが、それを超えない範囲でバランスを取れるのであれば、重ねて積みスペースを有効活用できます。
また、未使用時はコンパクトにたためるため、保管スペースも消費しません。段ボールを使用した場合でも、保管においては積み重ねる事は可能ですが、冷蔵庫内や冷蔵庫外への入出庫による湿気から、次第に段ボールの形が崩れ荷崩れの恐れもあります。メッシュパレットは、その様な心配もいらず運用する事が可能です。
ワコーパレットのパレボックスの特徴
ワコーパレットではメッシュパレットである「パレボックス」を取り扱っています。最高品質のメッシュを採用することにより耐久性は抜群で、強度も優れていることからさまざまなシーンで活躍してくれるでしょう。
農産物など、バラ物の保管に適しており、又耐久性に優れているためサプライチエーン間の“通い箱”にも最適です。他にも、パレボックスの表面にはメッキ処理を施しており、サビに強く、環境に優しい点も特徴です。農産物ではキャベツ・玉ねぎ・大根・白菜・人参等の野菜や、りんご・みかん・ウメ等の果物での使用の実績があります。
商品名 | 商品画像 | 特徴 |
---|---|---|
パレボックス L2 | 1200×1000×900 1000kgタイプ | |
パレボックス L2D2 | 1200×1000×900 1000kg 前後両扉タイプ | |
パレボックス C1 | 1200×1000×1040 1000kgタイプ | |
パレボックス C1D2 | 1200×1000×1040 1000kg 前後両扉タイプ | |
レンタルパレボックス(大) | 1200×1000×900 | |
オプションパーツ ・キャスター ・フォークガイド ・段積み金具 ・蓋 ・ダンプラ内張り | 左記はキャスターの取付のイメージ。 |
まとめ
この記事では、農産業界における物流の役割について解説しました。生産者である農家から、消費者の元へ野菜を届けるためには、さまざまな流通経路を経る必要があります。しかし、近年では流通経路が複雑になっており、物流業界に与える負担が大きくなっています。また、トラックドライバーが不足していることも無視できない大きな課題の1つです。
これらの問題を解決するためには、業務の効率化が必須といえるでしょう。まずは、メッシュパレットのように農産物に適した物流アイテムの使用がおすすめです。次回以降、農産物の流通において、なぜメッシュパレットが利用されるようになったのか、昨今の情勢も踏まえご説明をさせて頂きます。